数学B・統計的な推測
統計的な推測の公式・用語まとめ
統計的な推測では、標本から母集団の特徴を推定します。確率分布の平均と散らばりを押さえ、標本サイズが推定精度にどう影響するかを理解することが重要です。
FORMULAS
統計的な推測の重要公式
公式の使いどころを確認してから、短い例で形を覚えましょう。
期待値と分散
\(E(X)=\sum xp\), \(V(X)=E(X^2)-\{E(X)\}^2\)
- いつ使う?
- 確率変数が取る値の中心と散らばりを求めます。
- 短い例
- さいころの期待値は \(\dfrac{1+2+\cdots+6}{6}=3.5\)
- 注意
- 期待値は実際に1回の試行で出る値とは限りません。
期待値・分散の変換
\(E(aX+b)=aE(X)+b\), \(V(aX+b)=a^2V(X)\)
- いつ使う?
- 確率変数を定数倍・平行移動したときの平均と分散を求めます。
- 短い例
- \(E(X)=3,V(X)=4\) なら \(E(2X+1)=7,V(2X+1)=16\)
- 注意
- 定数を足しても分散は変わりません。定数倍は2乗して分散へ掛けます。
二項分布
\(P(X=k)={}_nC_kp^k(1-p)^{n-k}\), \(E(X)=np\), \(V(X)=np(1-p)\)
- いつ使う?
- 成功確率 \(p\) の独立な試行を \(n\) 回行うときの成功回数を扱います。
- 短い例
- \(X\sim B(100,0.3)\) なら平均30、分散21
- 注意
- 各試行の成功確率が同じで、試行が独立であることを確認します。
正規分布の標準化
\(X\sim N(\mu,\sigma^2)\) のとき \(Z=\dfrac{X-\mu}{\sigma}\sim N(0,1)\)
- いつ使う?
- 平均や標準偏差が異なる正規分布を、標準正規分布へ直します。
- 短い例
- 平均50、標準偏差10で \(X=70\) なら \(Z=2\)
- 注意
- 分母は分散ではなく標準偏差です。
標本平均の分布
\(E(\overline X)=\mu\), \(V(\overline X)=\dfrac{\sigma^2}{n}\), \(\sigma_{\overline X}=\dfrac{\sigma}{\sqrt n}\)
- いつ使う?
- 大きさ \(n\) の標本平均が、母平均の周りにどの程度散らばるかを求めます。
- 短い例
- 母標準偏差12、\(n=36\) なら標本平均の標準偏差は2
- 注意
- 標本サイズを4倍にすると、標準誤差は半分になります。
母平均の95%信頼区間
\(\overline x-1.96\dfrac{\sigma}{\sqrt n}\leq\mu\leq\overline x+1.96\dfrac{\sigma}{\sqrt n}\)
- いつ使う?
- 母標準偏差が既知の場合に、標本平均から母平均を区間推定します。
- 短い例
- \(\overline x=100,\sigma=10,n=100\) ならおよそ \(100\pm1.96\)
- 注意
- 母標準偏差が未知の場合は、問題で指定された近似や方法に従います。
母比率の95%信頼区間
\(\widehat p\pm1.96\sqrt{\dfrac{\widehat p(1-\widehat p)}{n}}\)
- いつ使う?
- 標本で観測された割合から、母集団全体の割合を区間推定します。
- 短い例
- 標本比率が0.4なら、標準誤差に \(\sqrt{0.4\cdot0.6/n}\) を使う
- 注意
- 正規近似が妥当な程度に標本サイズが大きいことを確認します。
仮説検定の判断
帰無仮説のもとで観測結果以上に極端な結果が起こる確率を \(p\) 値として評価する
- いつ使う?
- 観測結果が偶然では説明しにくいかを、有意水準と比較して判断します。
- 短い例
- 有意水準5%で \(p<0.05\) なら帰無仮説を棄却する
- 注意
- 棄却できないことは、帰無仮説が正しいと証明したことではありません。
GLOSSARY
統計的な推測の重要用語
- 母集団・標本
- 調べたい対象全体が母集団、その一部として実際に観測する集まりが標本。
- 確率変数
- 試行の結果に応じて数値が決まる変数。
- 標準誤差
- 推定量の標準偏差。標本平均では母標準偏差を標本サイズの平方根で割った値。
- 信頼区間
- 一定の信頼度で母数を含むように作られる区間。
- 帰無仮説
- 仮説検定で、差や効果がないという立場から設定する仮説。
CHECK
よくある間違い
- 標本平均の標準偏差を、母標準偏差と同じにする。
- 95%信頼区間を『求めた1つの区間に母平均が95%の確率で入る』とだけ解釈する。
- 帰無仮説を棄却できなかったとき、帰無仮説が正しいと断定する。