数学C・数学的な表現の工夫
数学的な表現の工夫の公式・用語まとめ
数学的な表現の工夫では、行列・ネットワーク・グラフなどを使って複雑な関係を簡潔に表します。表現方法には長所と限界があるため、目的に応じて選ぶことが大切です。
FORMULAS
数学的な表現の工夫の重要公式
公式の使いどころを確認してから、短い例で形を覚えましょう。
行列の加法と実数倍
\((a_{ij})+(b_{ij})=(a_{ij}+b_{ij})\), \(k(a_{ij})=(ka_{ij})\)
- いつ使う?
- 同じ型の行列同士を、対応する成分ごとに計算します。
- 短い例
- \(\begin{pmatrix}1&2\\3&4\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}2&0\\1&-1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}3&2\\4&3\end{pmatrix}\)
- 注意
- 加法は行数と列数が同じ行列同士で行います。
行列の積
\((AB)_{ij}=\sum_k a_{ik}b_{kj}\)
- いつ使う?
- 左の行列の行と右の行列の列を掛け合わせ、変換や関係の合成を表します。
- 短い例
- \(\begin{pmatrix}a&b\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=ax+by\)
- 注意
- 一般に \(AB\ne BA\) です。左の列数と右の行数が一致する必要があります。
単位行列
\(AI=IA=A\), \(I=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}\)(2次の場合)
- いつ使う?
- 行列の積における数の1と同じ役割を表します。
- 短い例
- 行列による変換を行わない操作に対応します。
- 注意
- 行列の型に合った次数の単位行列を使います。
行列によるベクトルの変換
\(\begin{pmatrix}x'\\y'\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}\)
- いつ使う?
- 平面上の点やベクトルの拡大・回転・反射などをまとめて表します。
- 短い例
- \(\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}\) は原点中心の90°回転
- 注意
- 変換を続けて行う場合、行列を掛ける順序に注意します。
隣接行列
頂点 \(i\) から頂点 \(j\) への辺があれば \(a_{ij}=1\)、なければ0
- いつ使う?
- ネットワークの頂点同士の接続関係を行列で表します。
- 短い例
- 無向グラフの隣接行列は、対角線に関して対称になります。
- 注意
- 有向グラフでは、行を出発点、列を到着点とするなど定義を統一します。
隣接行列の累乗と経路数
隣接行列を \(A\) とすると、\((A^n)_{ij}\) は頂点 \(i\) から \(j\) への長さ \(n\) の歩道数
- いつ使う?
- 一定本数の辺を通る移動方法の数を行列で数えます。
- 短い例
- \((A^2)_{ij}\) は途中に1頂点を挟む2段階の移動数
- 注意
- 同じ頂点や辺を再び通る歩道も数える定義です。
グラフの次数の総和
無向グラフでは \(\sum\deg(v)=2|E|\)
- いつ使う?
- 各頂点につながる辺の本数と、グラフ全体の辺の本数を結び付けます。
- 短い例
- 辺1本は両端の2頂点の次数へ1ずつ加わります。
- 注意
- 有向グラフでは入次数と出次数を分けて考えます。
グラフの尺度と軸
同じデータでも、軸の開始値・目盛間隔・縦横比によって見え方が変わる
- いつ使う?
- 統計グラフを正しく読み取り、誤解を招かない表現を選びます。
- 短い例
- 縦軸を0から始めない棒グラフは、小さな差を大きく見せることがあります。
- 注意
- タイトル、単位、データ範囲、軸の切断を確認します。
GLOSSARY
数学的な表現の工夫の重要用語
- 行列
- 数や式を長方形状に並べたもの。行数と列数で型を表します。
- 成分
- 行列の各位置に並んでいる数や式。
- 隣接行列
- グラフの頂点同士が辺で結ばれているかを表す行列。
- ネットワーク
- 対象を頂点、関係を辺として表した構造。
- データ可視化
- 数値や関係を、表・グラフ・図などで理解しやすく表すこと。
CHECK
よくある間違い
- 行列の積を、対応する成分同士の単純な積として計算する。
- 行列の積で \(AB=BA\) が常に成り立つと考える。
- グラフを見るとき、縦軸の開始値や単位を確認せず差の大きさを判断する。